今回は、教育に関するおすすめの本を紹介します。
『成功する子 失敗する子 ― 何が「その後の人生」を決めるのか』(ポール・タフ著)
非認知的スキルは、退屈な作業にあたるときの粘り強さであったり、喜びや楽しみを先送りにできる能力であったり、計画に沿ってやりとげる力であったりするのですが、それが大学でも、職場でも、人生全般においても価値のあるものということが様々な事例から知ることができます。
なんとなく子育てをしていくうえで、大事だよなと思っていることを言語化してくれる良書でした。
文章量も多く、明確な教育法を提示してくれる訳ではないので、なんだかぼんやりしているなと感じる部分もありますが、私は読んで非常に勉強になりました。
本書の内容から、認知的スキルを高める幼児教育は不要なのかという話になりますが、私は決してそうではないと考えています。
幼児教育のなかには、認知的スキルを高める内容だけではなく、非認知的スキルを高める内容も多く含まれていますし、何より子どもが楽しそうに取り組んでいるのであればそれでいいと思っています。
簡単ですが、本書の内容をふまえて、非認知的スキルを伸ばすポイントを3つ紹介します。
詳細は本書を読んでください。
非認知的スキルを伸ばす3つのポイント
- 幼少期に可能な限り心的外傷や慢性的なストレスから守る
- 親子間で安定した、愛情ある関係を構築すること
- 子どもに見合った大きさの逆境と、そこからひとりで助け無しで起き上がる機会を与えること
1.幼少期に可能な限り心的外傷や慢性的なストレスから守る
ストレスに満ちた環境に育った子どもは集中すること、じっと座っていること、失望から立ち直ること及び指示に従うことが困難になるそうです。
したがってストレスから子どもを守ることがとても重要です。
ここでいうストレスとは、虐待、ネグレクト及び親が何らかの依存症であること等から受けるものを指しています。
子どもの非認知的スキルを伸ばすためには、いわゆる機能不全家族(ストレスが日常的に発生している家族状態のこと)にならないよう気をつけなければなりません。
2.親子間で安定した、愛情ある関係を構築すること
親からの温かい愛情は、逆境による子どものストレス対応へのダメージを和らげることができ、子どもが外の世界に出ていけるための「安全基地」となります。
親からの温かい愛情は、外の世界へ出ていく際の不安を抑制したり、探索行動を活性化したり、 自己や他者への信頼感をもたらします。
そして何よりここで育まれた人格の基盤が、様々な能力や資質を育むそうです。
子どもは弱者であり、私たちがそうだったように誰かに依存しなければ生きていけません。
この世界を生き抜くほどのスキルも知識もありません。
だから自分を愛して守ってくれる人が存在するという関係がつくれないと、何もかもが不安定になってしまいます。
愛情ある関係を築くことは、子どもが発達するうえで非常に大切です。
3.子どもに見合った大きさの逆境と、そこからひとりで助け無しで起き上がる機会を与えること
つい助けたくなるところをぐっと堪え、子どもたちが失敗と真正面から向き合い、失敗からた立ち上がり、失敗を次につなげることで成長をしていけるそうです。
失敗から多くを学べることは頭では理解していますが、自分の子どものこととなると、失敗しないようについつい先回りしてしまったり、失敗してもすぐに助けてしまうことはよくあるので、今後は意識的に見守ることが必要だなと感じました。
ただ私たちがそうであるように、人生には失敗がつきものなので、わざわざ子どもが失敗するように仕向けるのではなく、身の丈にあった課題に取り組み、そこで失敗をすることで、色々な事を学び、成長していってほしいです。
以上3つのポイントが、子どもたちの非認知的スキルを高め、将来成功するために重要なことです。
おわりに
非認知的スキルの重要性と非認知的スキルを伸ばすためのポイントを、様々な研究結果から知ることができる良書でした。是非読んでみてください。
ただし具体的な教育法が記載されているわけではないので、その点はご留意ください。